リクガメと肺炎|症状や原因、完治までの治療例と飼育環境改善まとめ

リクガメの病気

リクガメにとっても肺炎は命に関わる重病です。

飼育しているリクガメが口を開けて呼吸していませんか?

そんな症状があると「肺炎」を発症している可能性があり、早急に動物病院で診てもらうことをおすすめします。

私も飼育しているリクガメを肺炎にしてしまい治療をしていました。

この記事では、リクガメの肺炎の症状や原因、完治までの治療例について記載していきます。

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リクガメの肺炎とは

肺炎とは、細菌やウイルスが肺まで侵食し炎症を起こしてしまう呼吸器疾患のことをいいます。

こちらが、正面から撮ったレントゲンのイメージ図です。

黒濃くなっている部分が肺で、甲羅のすぐ下に位置しているのが分かります。

右図は片方の肺が白く塗り潰されています。これが肺炎の状態です。

症状

  • 開口呼吸(肺が潰れて呼吸がしづらい状態)
  • 「キュッ」など呼吸音が鳴っている(鳴き声ではなく、肺など内臓から出ている音)
  • 口から泡や粘液を吐いている
  • 低温の場所でじっとしている(高代謝だと苦しいため、代謝を下げようとしている)
  • 鼻水をしている(細菌やウイルスの感染)
  • 食欲や体重の減少
  • など

原因

  • 不適切な温度や湿度
  • 不衛生な床材やアレルギー反応
  • ウイルスや細菌による鼻炎、鼻水の悪化
  • 幼体や老体による抵抗力の減少
  • など

治療

  • 症状を発見したら様子を見ず、早急に動物病院へ受診し適切な処置を行う
  • 原因を理解し、飼育環境を改善する
  • 清潔を保ち、不衛生な環境をつくらない
  • など
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肺炎の治療例

私も飼育していたインドホシガメの幼体を肺炎にしてしまいました。

鼻炎の治療が長引き肺炎まで悪化させてしまい、約11ヶ月間の通院と治療、飼育環境の改善を行ってきました。

なんとか完治させることができましたので、その内容を一例として紹介します。

症状例

前提として、この子は鼻水の症状があり点鼻薬による鼻炎治療を行っていました。

鼻炎治療が長引いてしまっていたある日、このような開口呼吸を発見。

すぐに動物病院へ受診し、レントゲン検査のうえ肺炎の診断を受けました。

原因は、鼻炎が悪化し炎症が肺まで進行してしまったことが考えられます。

治療例

① 点鼻薬の継続と抗生物質の餌薬

鼻炎治療で使用していた点鼻薬は継続し、肺炎治療として抗生物質が処方されました。

抗生物質は、餌にふりかけて食べさせる粉末タイプのものです。

2日に1回の投与を継続し、状態を見るため毎週の通院を行いました。

② 注射による抗生物質の直接投与

次に注射による液体タイプの抗生物質の直接投与が行われました。

餌付けによる投薬よりも効果的ですが、幼体なので強い治療に耐えられないおそれもあり、少しでも回復していることを確認してからの処置になりました。

首と前脚の間に針を深く差し込んで薬を流し込みます。

こちらは注射後の様子です。

やはり注射治療のダメージは大きくぐったりし、この状態が3日間続き餌も食べられなくなってしまいました。

山場の覚悟も必要かと思っていた矢先、その後ぐんぐんと回復してくれました。

幼体ということもあり、やはり注射による致傷は効果的である分リスクも大きいと感じます。

飼育環境の改善例

飼育環境の改善例を2つ記載します。

細かいものも含めるともっと多くの試行錯誤があったのですが、最も有効的と感じたものをピックアップしています。

Ⅰ. 温度の底上げ

ケージ内の温度を33〜35℃の高温に再設定しました。

温度を上げてからエサ食いなど調子も上がり、回復傾向が見られました。

もともと31〜32℃と高めに設定していたつもりでしたが、この子にとっては寒かったようです。

一緒のケージで飼育していた同じサイズの別個体は、元の温度設定でも問題なく順調に成長していたためそれが正しいとばかり思い込んでいました。

同種でもこれだけシビアに適正な環境が違ってくることにびっくりです。

Ⅱ. 床材の変更

床材を“ヤシガラ”から“フォレストフロア”というヒノキの皮へ変更しました。

ヤシガラ同様、保湿性の高い素材です。

すると、慢性化していた鼻炎が1週間で治り、鼻水をすることがなくなりました。

おそらくアレルギー的なもので、ヤシガラの素材が合ってなかったことが考えられます。

多湿といえばヤジガラが王道であり万能だと思い込んでいたので、原因が床材であることに気づくのが遅れてしまいました。

視野は広く持たないとですね。反省です。

肺炎完治

7ヶ月間の鼻炎治療と4ヶ月間の肺炎治療の末、レントゲン検査のうえ完治を無事確認することができました。

このように、鼻水や開口呼吸をすることもなく元気そうにしています。

エサ食いも抜群です。

肺炎完治後は栄養価が高いフードを多めに与え、まずは体を大きく成長させて体力をつけさせることから始めていきます。

鼻水を発症してからずっと体重が変わらず成長不良でしたが、完治後は少しずつ体重も増え成長線も見えるようになってきました。

治療費

参考に、治療費についても記載します。

病院によって誤差はありますが、大体の目安にはなるかと思います。

  • 診察:¥1,000前後/1匹分
  • 糞便検査:¥1,000前後/1匹分
  • 駆虫薬:¥1,500前後/1本分(5ml)
  • 点鼻薬:¥1,500前後/1本分(5ml)
  • 抗生物質(粉末):¥100前後/1食分
  • 抗生物質(注射):¥2,000前後/1回分
  • レントゲン:¥5,000前後/1回分

命はお金に変えられませんが、治療費も正直安いものではありません。

鼻炎・肺炎の完治まで¥50,000ほど掛かり、何十回も通院するための労力と時間も掛かっています。

生き物を飼育する際は、治療費がかかることも想定しておくことをオススメします。

注意点

ここでの内容はあくまで私の飼育下での一例です。

環境の違いや個体差もありますので、自分のカメに合った飼育環境を模索していただければと思います。

鼻炎の悪化で肺炎を発症してしまうことも多いため、こちらの記事も参考になればと思います。

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お礼

本ブログでの問い合せ、Twitter、Instagram等を通して、治療についてのアドバイスや暖かいお言葉をいただきました方々、誠にありがとうございました。

この場をお借りして感謝とお礼を申し上げます。

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