2019年11月26日、インドホシガメやパンケーキリクガメ等はCITES(ワシントン条約)の附属書Ⅱから附属書Ⅰへ格上げされました。
これによって、インドホシガメを取扱う規制は強くなり、商をともなう国際取引が禁止になります。
また、国内取引においても登録手続きが必要となりましたので、これらについてまとめようと思います。

どうも、ムタのかいぬしです。
インドホシガメやパンケーキリクガメをすでに飼育している方、これから飼育を考えている方も一緒に確認していきましょう!
CITESって?
絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約
“ワシントン条約”
小学校で誰もが聞いたことがある条約だと思いますが、『CITES = ワシントン条約』 です。
しかし、ワシントン条約とは日本国内だけの呼び名で、世界共通の正式名称をCITES(サイテス)といいます。
正式名称(日本) | 絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約 |
正式名称(英語) | Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora |
CITESの活動と歴史
CITESの役割は、取引の規制を通じて野生生物種を絶滅から守ることです。
アメリカのワシントンで1973年3月3日に採択され、1975年に発効されました。
2〜3年ごとに全加盟国が一堂に会し、取引規制や条約の運用について話し合う締約国会議を開催しています。
例えば、
数十年前、象牙は印鑑や彫り物の最高級素材として国際的に高額で取引きされていました。
そのため、人間による象牙を狙った密猟が大規模化し、アフリカゾウは激減し絶滅の危機となってしまいました。
そこで、世界の国々は協力のもと野生生物の国際的取引を規制する国際条約CITESをつくりあげました。
当時、この条約に署名した国は80カ国でしたが、現在では180カ国以上の国々が加盟しており、日本もそのひとつとなっております。
国際条約CITESの3つの規制
CITESには、附属書という3つの規制レベルが存在します。
取引状況と生息状況によってⅠ~Ⅲのレベルが設定されており、附属書Ⅰから規制が強い順でそれぞれ内容が定められています。
※ 附属書に掲載された動植物は、生きたものに限らず、はく製や加工品などすべてが対象となります。
規制内容 | 対象生物 | |
附属書Ⅰ | 商業目的の国際取引が禁止 ※絶滅のおそれがある生きもので取引による影響を受けているもの | ジャイアントパンダやウミガメ、トラ、ゴリラ、ヨウム、センザンコウ、インドホシガメ、パンケーキリクガメなど およそ1,000種 |
附属書Ⅱ | 商業目的の取引は可能。ただし、その取引が種にとって有害でないことを輸出国が証明し、許可することが条件。 ※取引を制限しないと、将来絶滅の危険性が高くなるおそれがある生きもの | マホガニーやサメ類、ライオン、タツノオトシゴ、サボテン、ラン、ローズウッドなど およそ34,600種 |
附属書Ⅲ | 指定国の輸出許可書、指定国以外の場合は原産地証明書(指定国ではないことを証明)が必要。 ※その動植物が生息する国が、保全のために国際的な協力を求めているもの ※附属書Ⅲのみ、締約国会議での採択は必要とされず、指定国が条約事務局に通知することで掲載が可能 | セイウチ(カナダ)、宝石サンゴ(中国) など およそ200種 |
日本での影響
法律による規制
CITESでの決定事項を受け、各加盟国は自国の施工方法で対応することになります。
日本の場合、以下の法律のもと規制されることとなります。
法律 | 規制内容 |
関税法・外為法 | 附属書Ⅰに該当する生物の輸出入を原則禁止 |
種の保存法 | 同じく、該当する生物の国内での販売や譲渡等の規制 |
飼育や販売への影響
インドホシガメやパンケーキリクガメなど、附属書Ⅰに記載された生物は飼育や販売もできなくなってしまうのか。
いいえ、規制内容を守ることで飼育も販売も可能です。
販売や譲渡をする場合は登録が必要
有償無償を問わず「売る」「買う」「あげる」「もらう」「預ける」「預かる」などの行為を行う場合は、自然環境研究センターへの登録が必要となります。
販売目的で陳列や広告をする場合も登録が必要となり、合わせて「登録記号番号」「登録年月日」「登録の有効期間の満了日」を表示することが種の保存法で義務づけられていますので注意しましょう。
未登録のままそれら行為を行った場合、罰則が科せられます。
行為 | 罰則内容 |
違法な譲り渡し | 個人:5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、又はこれらの併科 |
法人:1億円以下の罰金 | |
違法な陳列又は広告 | 個人:1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、又はこれらの併科 |
法人:2000万円以下の罰金 | |
不正な手段での登録又は更新を受けた | 個人:5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、又はこれらの併科 |
法人:1億円以下の罰金 |
個人で飼育し続ける場合は登録不要
飼育や所持の規制ではありませんので、2019年11月25日以前から法令を遵守し適切に所有している個体を所有者が今後も飼い続ける(所持し続ける)のであれば登録は必要ありません。

※でも、飼育者の自分が急死した際に、飼育していた個体を知人やショップへ譲渡する場合を考えると登録しておいた方が賢明ですね。
自然環境研究センターへの登録方法
では、一般財団法人 自然環境研究センターへの登録申請に必要なものを記載します。
- 登録申請書(+申請個体の写真)
- 取得経緯の自己申告書(+その証明書類)
- マイクロチップ識別番号証明書(+証明写真)
- 本人確認ができる書類の写し
1. 登録申請書(+申請個体の写真)
まずは、自然環境研究センターより専用の登録申請書を入手しましょう。
- 登録申請書
➡︎ 記入例に従い、種名・区分・甲長や体重・所在地・個体識別番号・登録要件などの項目を記入 - 申請個体の写真を添付
➡︎ 登録申請前1ヶ月以内の、申請個体の上下左右正面のカラー撮影をしたもの
2. 取得経緯の自己申告書(+その証明書類)
つぎに、申請者が申請個体を規制適用前(2019年11月25日以前)に入手したことの証明が必要になります。
こちらも自然環境研究センターより専用の申告書を入手しましょう。
- 取得経緯の自己申告書
➡︎ 申請個体が、いつ・どこで・何を・いくつ、誰からの入手かを具体的に記入 - 申告書の内容を証明する書類を添付(いずれか1つ)
・輸入時の通関書類(申請者本人が輸入した場合)
・仕入れ、購入時の納品書/領収書
・動物愛護管理法における生体販売説明書/確認書
・販売証明書
・診断書(規制適用前の診療記録に基づくもの
※ 規制適用前に国内で繁殖した個体の場合、用意する書類が異なります。
- 繁殖証明書
➡︎ 登録申請する個体の、繁殖の経緯や親親の取得経緯などを具体的に記入 - 繁殖の経緯を詳細に説明した文書および写真
➡︎ 飼育環境や繁殖行動の状況、産卵前後の状況、孵化前後の状況説明と申請時までの飼育状況と成長具合
➡︎ 孵化時のカラー写真など、文書の内容を証明するもの(撮影日がわかること) - 申請する個体の雄親と雌親の取得経緯を証明する書類を添付
・輸入時の通関書類(申請者本人が輸入した場合)
・仕入れ、購入時の納品書/領収書
・動物愛護管理法における生体販売説明書/確認書
・販売証明書
・診断書(規制適用前の診療記録に基づくもの
3. マイクロチップ識別番号証明書(+証明写真)
個体識別措置が義務づけられていますので、個体識別措置を証明する書類および写真が必要となります。
※ マイクロチップの挿入は規制適用後でも問題ありません。
- 個体識別措置を証明する書類
➡︎ 獣医師による申請個体へのマイクロチップの挿入とその証明書 - 個体識別措置を証明する写真を添付
➡︎ 登録申請前1ヶ月以内の、申請個体とリーダーによりマイクロチップの番号を表示しているもの

インドホシガメは神経質な個体も多いし心配ですよね。
うちでは、甲長10〜12cmくらいに育ってから登録しようと思っています。
4. 本人確認ができる書類の写し
さいごに、本人確認ができる書類の写しを用意します。
個人の法人で用意する書類が異なりますので注意しましよう。
- 本人確認ができる書類の写し
※ 個人の場合(いずれか1つ)
・運転免許証
・保険証
・住民票
・その他、公的機関の発行している証明書
※ 法人の場合(いずれか1つ)
・登記謄本
・履歴事項全部証明書
・全部事項証明書
・その他、公的機関の発行している証明書
登録の更新方法
登録の有効期限は5年
生体の登録には5年の有効期間が設定されています。
更新が行える期間は、有効期間の満了日の6ヶ月前から満了日の前日までです。
※ 有効期間が過ぎますと登録は失効し、失効状態で譲り渡し等(売る、あげる、貸す、預けるなど)を行うと種の保存法違反となりますので注意しましょう。
※はく製や敷皮、象牙やサイの角、毛皮製品には有効期間はありません。
登録の更新方法
登録と同様、一般財団法人 自然環境研究センターへの更新申請が必要になります。
一度登録してしまえば、同じような内容を繰り返しますので難しくはないかと思います。
- 更新申請書
➡︎ 記入例に従い、種名・甲長や体重・登録記号番号・所在地・個体識別番号などの項目を記入 - 申請個体の写真を添付
➡︎ 登録申請前1ヶ月以内の、申請個体の上下左右正面のカラー撮影をしたもの - 登録票
➡︎ 登録時に発行された登録票の原本 - マイクロチップ識別番号証明書
➡︎ 獣医師による申請個体へのマイクロチップの挿入した際の証明書 - 個体識別措置を証明する写真を添付
➡︎ 登録申請前1ヶ月以内の、申請個体とリーダーによりマイクロチップの番号を表示しているもの
登録・更新費用
登録するための施術や5年に1回の更新まで含めると、約¥20,000の費用が発生します。
計画性をもって登録申請するように気をつけましょう。
- マイクロチップ挿入の施術費用
➡︎ 施術先の動物病院にもよりますが、約¥5,000〜¥10,000ほど - 自然環境研究センターの登録費用
➡︎ 1個体につき、¥5,000 - 登録の更新費用(5年に1回)
➡︎ 1個体につき、¥4,600
登録個体を購入や譲受けしたとき
譲受けの届出義務
インドホシガメなど、登録された個体等の購入や譲受け等を行った者は、その所在を明らかにする為に登録機関に対し、その旨を届出ることが義務づけられています。
こちらは、登録や更新と同じような書類の郵送とウェブからの届出も可能となっております。
※ 届出期間は、譲受けてから30日以内となっていますので注意してください。
※ 譲渡し者は届出を提出する必要はありません。譲受け者のみとなります。
郵送による届出方法
登録や更新同様、一般財団法人 自然環境研究センターへの譲受けの届出が必要になります。
- 届出書(郵送)
➡︎ 記入例に従い、登録記号番号・種名・区分・個体識別番号・譲受日・譲渡し者などの項目を記入
ウェブからの届出方法
譲受けの届出に関してはウェブからの届出が可能で、必要事項を入力するだけでとても簡単なので郵送よりもオススメです。
- 届出書(ウェブ)
➡︎ メールアドレス・登録記号番号・種名・区分・個体識別番号・譲受日・譲渡し者などの項目を入力
⬇︎⬇︎⬇︎ 参考に、コチラが法令後に登録票付きでお迎えをしたインドホシガメの紹介記事になります⬇︎⬇︎⬇︎

おまけ

手続き大変だなあ。
でも大事なことだから勉強できてよかったよ。

注射…巨大なマイクロチップ…ブルブル

ムタはまだまだ小さいから大丈夫だよ。
大きくなってからちゃんと登録しようね。

は?
注射が嫌だから大きくならないんだよ。

コイツっ…!
※仲間たちが成長する中、ムタだけ9ヶ月間体重が増えていないのだ。
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